おはざっす。あずまおうです。
「お笑いの基本」 第1回目の記事は、さらば青春の光についてです。
さらば青春の光と言えば、バックボーンがドロドロしすぎていてそこにフォーカスがあたりがちですが、
彼らは実力のある芸人です。コントを得意としていますが、漫才もやっており、
M-1グランプリ2016の決勝にも出場しています。
得意としているネタのスタイルは、日常を独特の世界観で展開してくパターンで、
ボケ・ツッコミの担当がハッキリとしていないため、予想を反するタイミングでボケが飛んできます。
おかげさまで、不意を突かれて笑ってしまうというのが常套手段です。
とは言え、基本的には森田がツッコミ、東ブクロがボケ担当という格好になっています。
それでは基本データを見ていきましょう。
└2008年結成
・株式会社ザ・森東
└松竹芸能を退社後、自分たちの会社を立ち上げる。
└辞め方はよくなかった。
・東ブクロ(ボケ)
└不倫歴あり。笑いに昇華できていない。
・森田哲矢(ツッコミ)
└一見不倫していそうなのはこっち。ツッコミが上手。フリートーク時もいじられてツッコめる。
・賞レース
└M1グランプリ、TheMANZAI ともに準決勝・決勝の常連。実力は確か。
賞レースきっかけで、「ハイヒールリンゴ」から気に入られている。
リンゴ姉さんは気に入った芸人がいるとスーツをプレゼントする癖があるので注意。
今回は、コントを得意としている彼らの、漫才「THE MANZAI2016 決勝」のネタを解説していきます。
漫才も独特な世界観で展開されていきますが、お笑いの基本がつまっており、
とても参考になります。
中学生の時の思い出を語る。
ボケの東ブクロが、マンガのような思い出を語り、それに合わせて、「マンガやん!」「マンガやん!」「マンガやん!」
だけでツッコんでいく。このツッコミ方がこのネタのキーとなる。
序盤で前フリを丁寧におこなっているにも関わらず、ツッコミがおもしろいという最高の形で、
中盤へと繋げていく。ツッコミの発生、ボリューム、タイミングがよく活きている展開。
次にツッコミの森田が中学生時代の思い出を語っていく。
この話もよくある中学生時代の話ではあるが、
「マンガやん!」「マンガやん!」に変わるツッコミは、東ブクロの
「能やん。」
このまま森田の話に対して、東ブクロは「能やん」「能やん」「能やん」と
ツッコミを入れていく。
注目したいのが、森田の表情。
一体どこに「能」の要素があるのかわからず、困惑している。
この困惑した表情は本当に勉強になる。ただただ、東ブクロをみつめるというだけでおもしろい。
話が終わった後に、「能やん」と言われ、
「これ能なん!??」とツッコミを入れる。
「能やん」 →「 困惑表情」 →「ツッコミ」
ためにためた前フリのおかげで、ツッコミがキレイに決まっている。
引き続き、森田が別の思い出話を始める。

「中学時代、暑かったから、川遊びにいってん」
↓
「さっそく能やん」
↓
「さっそく能なん!?」
ここのボケとツッコミのテンポが完璧。
今までに「さっそく能やん」というツッコミのようなボケを聞いたことがあったか。いやない。
そして続けざまに「さっそく能なん!?」というツッコミ。間が完璧。この間はお笑いの基本。
そしてこのまま「能やん」でツッこんていき、話の最後は、
「最後、浄瑠璃やん」
↓
「浄瑠璃なん!?」
ここまでくれば、どんなツッコミを入れてもだいたい面白いが、
ネタにいれるとしたら、「能」「浄瑠璃」の2つまでが限界。これ以上違うツッコミをいれても
観客は展開が読めてしまって、おもしろくない。
ちなみに3つ目の話をした時の最後は、「ねじり鉢巻角刈り奮闘記やん」を
入れたが、微笑で終わってしまった。前段が強いのでそこまで気にならなかったが、本来は不要。
再び、東ブクロが思い出を語る。
「駿河の国に住む、右大臣の話なんやけど、病に伏せてうなされてて、その時の言葉が、
またれ、またれ・・・」
↓
「たぶん、能やん。。。」
ここで本当に「能」がくるとはね。想像してなかった。
そして森田の「たぶん、能やん。。。」のツッコミと表情が完璧。
このまま畳み掛けていったところで、
森田「絶対能やん!!!」
↓
東ブクロ「キャッツや!」
↓
森田「今のキャッツこんなんなん?」
↓
東ブクロ「その言い方、能やん」
↓
森田「能なん?」
・序盤・中盤を厚めに置いて、終盤を駆け抜けるスタイル。
・無駄なボケがない。ボケまくっていない。
・ツッコミの間とボリューム、そして表情で全てを語っている。
・キラーワードも散りばめられている
└ 「マンガやん」「早速能やん。」「もう浄瑠璃やん」「あぁ浄瑠璃や。」「多分能やん。」
・狙ったところできっちりと笑いを取りに行けている。
ベーシックな内容から、独自の設定を付け加え、観客を飽きさせないように、
無駄なボケを入れていません。次の展開はどうなるか気になるように作り込まれています。
とは言え、やはりツッコミの力が物をいう内容であることには間違いありません。
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